ドバイは「所得税ゼロ」の国として知られ、多くの富裕層や起業家、投資家を惹きつけてきました。
確かに、ドバイには個人所得税が存在せず、この点だけを見ると非常に魅力的に映ります。
しかし、「ドバイに住めば税金は一切かからない」という理解は、必ずしも正確ではありません。
実際には、移住後に思わぬ税務リスクに直面するケースも少なくないのです。
税務上で重要なのは、単に居住地を移したかどうかではありません。
多くの国では、「税務上の居住者」かどうかは、生活実態・滞在日数・経済的拠点などを総合的に見て判断されます。
たとえば、
・本国に家族や資産が残っている
・事業や収入源の実態が国外にある
・形式上は移住しているが、実際の生活は頻繁に往復している
こうした場合、元の国から「実質的にはまだ居住者である」と判断される可能性があります。
ドバイ側では非課税でも、出身国や関係国では課税対象とされる――
このギャップが、移住者を悩ませる大きな落とし穴です。
特に注意が必要なのは、
・海外所得の申告義務
・居住者判定を巡る解釈の違い
・法人・個人の税務区分
です。
「ドバイは無税だから問題ない」と思い込んでいると、後から追徴課税やペナルティを受ける可能性も否定できません。
税金がかからない一方で、ドバイ移住には別のコストや義務も存在します。
・ビザ維持費用
・居住要件を満たすための滞在管理
・法人設立や銀行口座開設に関する手続き
・会計・コンプライアンス対応
これらは「税金」ではないものの、長期的に見ると無視できない負担となります。
ドバイ移住を検討する際に重要なのは、
「税金がゼロかどうか」だけで判断しないことです。
・自分はどの国の税務居住者になるのか
・収入や資産はどこで発生しているのか
・長期的に見て法的・税務的に整合性が取れているか
これらを冷静に整理する必要があります。
ドバイは確かに魅力的な移住先ですが、「税金ゼロ」という言葉だけを鵜呑みにするのは危険です。
重要なのは、
制度を正しく理解し、自分の状況に当てはめて考えること。
移住はゴールではなくスタートです。
長期的に安心して生活・投資を行うためにも、表面的なメリットの裏側にあるリスクに目を向ける姿勢が求められます。