2025/09/13
ドバイ不動産市場の裏側|投資リテラシーが低い“転売ヤー”が招くバブルとパニック売り
その他・投資
目次
「電話一本で100万ドル超が売れる」市場の怖さとチャンスバブル → パニック売りが起きるメカニズム2027〜2028年:供給の高水準に要注意守るべき投資原則(チェックリスト)まとめ:熱狂ではなく、設計で勝つ
ここ数年のドバイ不動産は、売買が“電話一本で決まる” ほど熱を帯びています。一方で、<投資リテラシーの低い買い手(=短期転売狙い層)が増えると、相場は上がる時は一気、下がる時も一気——いわゆるバブル→パニック売りの連鎖が起きやすくなります。参考ポスト:X(旧Twitter) アカウント:https://x.com/MasaNozaki2 該当スレッド:https://twitter.com/MasaNozaki2/status/1961312652178702745
仮に物件価格が2400万円。年間家賃が180万円の場合表面利回りが7.5%になる。けして、実質利回りではない。日本同様、ドバイの不動産もメンテナンス費はかかってくるので実質利回りはもっと低くなる。 https://t.co/xFyustjHIy— 【エジプト社長🇪🇬】Masa Nozaki (@MasaNozaki2) August 29, 2025
本記事では、よくある誤解と市場構造、そして守るべき投資原則を整理します。
ドバイ市場で見かける“危うい営業トーク”
「賃貸契約の自動更新があるから予測可能なキャッシュフローだ」——一見もっともらしく聞こえますが、それだけでCFの予見性を担保することはできません。賃料改定、空室リスク、管理コスト、修繕、規約変更など、前提が揺らぐ要因はいくらでもあります。
さらに、
表面利回り(家賃÷購入価格)
ネット利回り(実費控除後の実質利回り) を混同したまま、「日本より堅実なインカム」と断言するケースも散見されます。
ポイント:営業トークが“過度にシンプル”なときほど要注意。
キャッシュフローは前提条件を一つ変えるだけで崩れます。
「電話一本で100万ドル超が売れる」市場の怖さとチャンス
熱狂期の市場では、投資判断の深度が浅いまま高額取引が成立しやすくなります。これは怖さであると同時に、逆回転時のチャンスでもあります。
怖さ:下落局面では“短期転売組”が一斉に投げる(流動性の薄い在庫が一気に市場へ)
チャンス:投げ売り局面は、ファンダメンタルズに対して割安な価格が出やすい
バブル → パニック売りが起きるメカニズム
初期上昇:分かりやすいストーリー(オフプラン値上がり・完成前転売など)に資金が集まる
過熱:外部要因(SNS拡散、成功談、低金利等)で短期マネーが流入
イベント:供給増、規制、金利・為替の変調、地政学リスクなど
巻き戻し:転売組が同時に出口へ→在庫化・価格調整→レバレッジ筋の処分売り
二極化:一等立地・高品質・賃貸実需は踏みとどまり、周縁在庫が沈む
2027〜2028年:供給の高水準に要注意
今後、2027〜2028年にかけて供給が高水準になる見込みが各所で語られています。供給が大きく乗ると、短期転売の出口が狭まり、パニック売りの“点火”になりやすい点は留意が必要です。
※あくまで見込みであり、実際の影響は金利・為替・需要・規制と複合要因で決まります。
守るべき投資原則(チェックリスト)
短期の勢いではなく、収益の実態で判断しましょう。
1|利回りを“ネット”で見る
管理費・修繕・固定費・税コスト・家具家電・空室率・募集コスト・PM/代理店手数料・プラットフォーム料(短期賃貸)など全部引いた後で評価。
2|賃貸の“質”を確認する
賃貸需要の実需(勤務地・学校・交通・商業施設)
テナントの滞在年数・属性(短期観光特化は変動大)
更新条項・退出条項・賃料改定の実務
3|立地と在庫の“代替性”を測る
同価格帯で代替が利く在庫が大量に出るエリアは下押し圧力が強い
一等立地でも“供給の壁”が近いと上値は重くなる
4|売却出口の“実務”を把握
外国人の売却プロセス、手数料、想定期間、需要層
直近の成約事例と指値〜成約の乖離
5|レバレッジ規律
金利・為替の逆回転耐性(利払い余力、LTV、DSCR)
ローン条項(コベナンツ)とストレス時の計画を事前に
まとめ:熱狂ではなく、設計で勝つ
自動更新=予測CFという安易な等式は成り立たない
表面利回りではなくネット利回りで評価
供給・金利・為替・規制の複合リスクを前提に設計
逆回転時は短期転売層のパニック売りが発生しやすいが、そこで冷静に拾える準備が差になります
上がる時も下がる時も、判断をシンプルに。
「貸せるか(誰に)」「何%で」「どれだけの期間」「逆回転時も持てるか」。
この4点を、営業トークではなく数値で語れるポートフォリオに整えておきましょう。